チロシンでドーパミンを向上!凄すぎる効果5選

チロシンは、体内で合成される非必須アミノ酸の一つであり、食事を通じても摂取可能です。チーズ、大豆製品、バナナなど、多くの食品に含まれており、私たちの健康維持に重要な役割を果たしています。

チロシンとは

このアミノ酸は、必須アミノ酸であるフェニルアラニンから体内で生成されるため、非必須アミノ酸に分類されます。チロシンは、神経伝達物質の生成に関与するだけでなく、皮膚や髪のメラニン色素の形成にも重要な役割を担っています。

食事から摂取されたフェニルアラニンの約90%はチロシンに変換されます。この変換プロセスは、フェニルケトン尿症のような特定の疾患治療において、チロシンの補給が特に重要であることを示しています。

また、チロシンは、ポジティブな感情や記憶力に影響を与えるドーパミンなどの神経伝達物質の原料として機能します。

チロシンの驚くべき効果5選

ドーパミン生成サポート

チロシンの最も顕著な効果の一つは、ドーパミン、ポジティブな感情や報酬システムと深く関連する神経伝達物質の生成をサポートすることです。

ドーパミンは、私たちが達成感や喜びを感じる際に不可欠であり、また、モチベーションや集中力、記憶力、男性の性機能にも影響を与えます。チロシンの摂取が脳内でドーパミンの可用性を高め、結果として様々な機能を向上させる可能性があることが、多くの研究によって示されています。

動物実験やパーキンソン病患者を対象に行われた研究では、チロシンの経口摂取がドーパミン代謝物、特にホモバニリン酸(HVA)のレベルを増加させることが確認されました。これは、チロシンがドーパミン合成の効率を高めることを示唆しており、特に記憶力や集中力などの認知機能の向上に寄与する可能性があることを意味します。

Kühn, S., Düzel, S., Colzato, L., Norman, K., Gallinat, J., Brandmaier, A. M., Lindenberger, U., & Widaman, K. F. (2019). Food for thought: association between dietary tyrosine and cognitive performance in younger and older adults. Psychological research, 83(6), 1097–1106.

Bloemendaal, M., Froböse, M. I., Wegman, J., Zandbelt, B. B., van de Rest, O., Cools, R., & Aarts, E. (2018). Neuro-Cognitive Effects of Acute Tyrosine Administration on Reactive and Proactive Response Inhibition in Healthy Older Adults. eNeuro, 5(2), ENEURO.0035-17.2018.

勃起不全(ED)の改善サポート

男性機能にとってポジティブな効果をもたらす可能性があります。ラットを使用した動物実験では、チロシンキナーゼ受容体への特定の作用が、勃起機能の回復に寄与することが示されました。この受容体に作用することで、損傷を受けた海綿体の神経が正常な勃起機能を回復する可能性があることが発見されています。

また、ドーパミンは男性の性行動において重要な神経伝達物質であり、特に性的興奮、動機付け、勃起の調整において中心的な役割を果たしています。ドーパミンの活動の増減は性行動に直接的な影響を与えるデータが明らかにされているため、ドーパミン生成を促すチロシンは男性の勃起不全にとってもポジティブなアプローチをしてくれます。

Lin, G., Li, H., Zhang, X., Wang, J., Zaid, U., Sanford, M. T., Tu, V., Wu, A., Wang, L., Tian, F., Kotanides, H., Krishnan, V., Wang, G., Ning, H., Banie, L., Lin, C. S., Deng, G. G., & Lue, T. F. (2015). Novel therapeutic approach for neurogenic erectile dysfunction: effect of neurotrophic tyrosine kinase receptor type 1 monoclonal antibody. European urology, 67(4), 716–726.

Melis, M. R., Sanna, F., & Argiolas, A. (2022). Dopamine, Erectile Function and Male Sexual Behavior from the Past to the Present: A Review. Brain sciences, 12(7), 826.

睡眠不足状態での集中力サポート

チロシンは睡眠不足状態での作業時に集中力や注意力を向上させる効果があります。夜間の長時間作業を行う実験では、チロシンを摂取した被験者が睡眠不足にもかかわらず、集中力や注意力を維持できることが示されました。

睡眠不足でもパフォーマンを発揮、維持したい時にもチロシンは役立ってくれる可能性がありますね。

Neri, D. F., Wiegmann, D., Stanny, R. R., Shappell, S. A., McCardie, A., & McKay, D. L. (1995). The effects of tyrosine on cognitive performance during extended wakefulness. Aviation, space, and environmental medicine, 66(4), 313–319.

ワーキングメモリーの向上

強いストレス環境下での記憶力の低下は、チロシンの摂取によって改善される可能性があります。研究により、チロシンは脳内でドーパミンやアドレナリンの分泌を促進し、記憶力を向上させることが示されています。

特にラット実験にストレスがかかる状況下での研究で、チロシンの摂取が記憶力やワーキングメモリーの向上に寄与することが観察されました。なので、ストレスがある状況でもパフォーマンスを発揮したい場合にもチロシンは役立ってくれる可能性がありますね。

Mahoney, C. R., Castellani, J., Kramer, F. M., Young, A., & Lieberman, H. R. (2007). Tyrosine supplementation mitigates working memory decrements during cold exposure. Physiology & behavior, 92(4), 575–582.

マルチタスク能力の向上

チロシンは、ストレス状態で低下しがちなマルチタスク能力の向上にも役立つことが示されています。男女合わせた20名を対象にした研究では、チロシンの摂取がマルチタスク能力の向上に大きく貢献することが分かりました。このアミノ酸は、複数の作業を同時に行う能力を向上させるだけでなく、タスクの切り替え速度を速める効果も報告されています。

Thomas, J. R., Lockwood, P. A., Singh, A., & Deuster, P. A. (1999). Tyrosine improves working memory in a multitasking environment. Pharmacology, biochemistry, and behavior, 64(3), 495–500.

チロシンの摂取量

チロシンは、神経伝達物質の合成やメラニン色素の生成など、私たちの体内で重要な役割を担っており、一般的に健康な成人は、体重1㎏あたり7mgのチロシンを日々摂取することが推奨されています。

例えば、70kgの成人男性ならば「490mg」程度の摂取が推奨されます。チロシンの不足は、神経伝達物質の合成障害を引き起こし、集中力の低下やうつ病のリスクを高める可能性がありますので適切な量を摂取することは大事です。

チロシンを食事から摂取する場合、摂取上限に関する心配は不要です。チーズ、大豆製品、バナナなどチロシンが豊富な食品をバランスよく摂取することで、日々の必要量を満たすことができます。

これらの食品は、チロシンだけでなく他の栄養素も豊富に含んでいるため、健康的な食生活の一部として積極的に取り入れることが推奨されます。

一方で、サプリメントによるチロシンの摂取を検討する場合は、過剰摂取に注意して製品に記載されている推奨摂取量を守り、必要に応じた摂取が大事になります。

まとめ

チロシンは、体内で合成される非必須アミノ酸の一つであり、精神的に大きな影響をもたらす栄養素の一つです。日々の摂取はもちろんですが、ストレスがあったり、睡眠不足だとしてもパフォーマンスを発揮、維持してくれる成分なので、ここぞのときに役立ってくれるスーパーアミノ酸ですね。