テアニンは、お茶の葉から発見されたアミノ酸で、リラックス効果や集中力の向上に寄与するとされています。この成分は、1950年に酒戸弥二郎博士によって茶葉から特定されました。テアニンは、その名前をお茶の学名”Thea sinensis”に由来し、食品添加物として1964年に日本で認定された経緯を持ちます。
テアニンとは
テアニンは主にお茶に含まれており、特に高級茶葉に多く含まれています。抹茶や玉露などの高級なお茶には多量のテアニンが含まれており、その旨味成分がお茶の風味を豊かにしています。
科学で分かるテアニンの効果6選
テアニンの最も注目される効果は、セロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質の濃度を変化させることで、脳内の神経伝達物質の活動を調整して気分を高めたり、ストレスの緩和を促します。
ドーパミンの産生サポート
テアニンは、アミノ酸の一種でありドーパミンレベルの増加に役立つ可能性があります。
テアニンは、ドーパミンを含む脳内の特定の神経伝達物質の増加を促します。複数の研究により、テアニンがドーパミンの産生を増加させ、それによって抗うつ効果をもたらし、認知機能を向上させることが示されています。
さらに、テアニンが豊富に含まれる緑茶エキスの摂取や緑茶を頻繁に飲用することがドーパミンの産生を増加させ、うつ症状の発生率が低いことと関連があることを示唆する研究もあります。
参考文献
Nobre, A. C., Rao, A., & Owen, G. N. (2008). L-theanine, a natural constituent in tea, and its effect on mental state. Asia Pacific journal of clinical nutrition, 17 Suppl 1, 167–168.
Niu, K., Hozawa, A., Kuriyama, S., Ebihara, S., Guo, H., Nakaya, N., Ohmori-Matsuda, K., Takahashi, H., Masamune, Y., Asada, M., Sasaki, S., Arai, H., Awata, S., Nagatomi, R., & Tsuji, I. (2009). Green tea consumption is associated with depressive symptoms in the elderly. The American journal of clinical nutrition, 90(6), 1615–1622.
リラックス効果
テアニンを摂取することで、リラックスを促すことに役立つ可能性があります。EEG(脳波測定)を使い、テアニンが人間の脳機能にどのように影響を与えるか調べた研究では、50mgのテアニンの摂取により、脳内のアルファ波活動を増加させ、心をリラックスさせるが眠気を引き起こさない状態を促すことが分かりました。
また、動物の神経化学研究では、テアニンが脳のセロトニン、ドーパミン、GABAレベルを増加させることが示されているように脳機能に関する様々な効果をもたらすことが期待できます。
参考文献
Nobre, A. C., Rao, A., & Owen, G. N. (2008). L-theanine, a natural constituent in tea, and its effect on mental state. Asia Pacific journal of clinical nutrition, 17 Suppl 1, 167–168.
Nathan, P. J., Lu, K., Gray, M., & Oliver, C. (2006). The neuropharmacology of L-theanine(N-ethyl-L-glutamine): a possible neuroprotective and cognitive enhancing agent. Journal of herbal pharmacotherapy, 6(2), 21–30.
ストレス緩和
ストレスが原因で血圧が上昇することは一般的な現象であり、テアニンがストレスによる血圧の急激な上昇を抑えるのに役立つ可能性があります。14名の被験者を対象に行われた試験では、200mgのテアニンを摂取した群が、高ストレス反応後の血圧上昇を顕著に軽減したことが分かりました。
Yoto, A., Motoki, M., Murao, S., & Yokogoshi, H. (2012). Effects of L-theanine or caffeine intake on changes in blood pressure under physical and psychological stresses. Journal of physiological anthropology, 31(1), 28.
睡眠質の改善
テアニンの摂取により睡眠の質の向上に役立つ可能性があります。テアニンを8週間にわたり摂取した実験では、睡眠満足度の向上が報告されました。テアニンが睡眠障害を抱える人々にとって、有益な成分であることを示しています。
Sarris J, Byrne GJ, Cribb L, Oliver G, Murphy J, Macdonald P, Nazareth S, Karamacoska D, Galea S, Short A, Ee C, Birling Y, Menon R, Ng CH. L-theanine in the adjunctive treatment of generalized anxiety disorder: A double-blind, randomised, placebo-controlled trial. J Psychiatr Res. 2019 Mar;110:31-37.
認知機能の向上
テアニンにより認知機能のサポートと記憶力の向上に役立つ可能性があります。研究では、ラットを対象にテアニンを投与した結果、空間記憶能力の顕著な改善が見られました。
Egashira N, Ishigami N, Pu F, Mishima K, Iwasaki K, Orito K, Oishi R, Fujiwara M. Theanine prevents memory impairment induced by repeated cerebral ischemia in rats. Phytother Res. 2008 Jan;22(1):65-8.
集中力の向上
テアニンは、集中力を高める効果も期待できます。44名の若年成人を対象とした研究では、テアニンとカフェインの組み合わせが、タスクの切り替え精度を向上させ、疲労感を軽減することが示されました。
テアニンとカフェインの同時摂取する場合には、睡眠前にカフェインを摂取することで睡眠の質を低下させてしまう可能性があるので、入眠前に同時摂取をすることは避けた方が望ましいです。
Giesbrecht T, Rycroft JA, Rowson MJ, De Bruin EA. The combination of L-theanine and caffeine improves cognitive performance and increases subjective alertness. Nutr Neurosci. 2010 Dec;13(6):283-90.
テアニンの摂取量
テアニンの推奨量は「50mg〜200mg」程度です。1日50mgで脳内のアルファ波活動を増加させ、心をリラックスさせるが眠気を引き起こさない状態を促すことが分かっており、1日200mgでストレスによる血圧の急激な上昇を抑えるのに役立つデータからも、この範囲内での一定の効果が期待できます。
テアニン単体なら睡眠前に摂取することも効果的ですが、日中ならカフェインと同時に摂取することでより集中力を高めることに役立つ可能性がある研究データも複数存在します。
まとめ
テアニンは、精神的な安定から身体的な健康まで、広範囲にわたる効果を持つことが分かります。テアニンを摂取する最も一般的な方法はお茶を飲むことですが、1度に50mg程度テアニンを摂取することは難しいのでサプリメントとして摂取するのも一つです。
テアニンは、気分の改善効果だけでなく睡眠の質を高める期待もできるので、夜のタイミングで摂取するのも良いですね。
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